自転車のイヤホンで
青切符を切られない方法
- それでも生きるあなたへ BLOGS -
2026年4月1日から『交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)』が適用になった。
趣旨をザックリ要約すると、
- 自転車事故の重大事故の内、自転車側にも法令違反があることが多いため
- 今までは不起訴になることが多かったが実効性のある責任追及を可能とするため
- 今までの刑事手続は違反者・警察双方に時間的・手続的な負担が大きかったが青切符を切ることにより簡易迅速な処理を可能とするため
という三部構成になっている。なるほどごもっともなことで自転車保険の記事でも触れた通り自転車による重大事故が多発しているので、その抑制を図ってのことだろう。簡便的に実効性のある罰を科すことによりスピード感をもって事故を減らしていく、という考えは素晴らしいのだが、自転車に乗る身としては「そんなんチャリが安心して走れる道路作ってから言えよ。」とメンチを切りたくなるが適用されたものは仕方ない。捕まらないように注意しながら安全運転するしかない。
…のだが、特に自転車イヤホンについては罰則について知っておいてほしいこと、世の中を理解する上で重要なこと、え?そんな活用法が!?と感動したことの3つがあるので情報提供できたらと思う。
それでは順番に話していく。
※尚、この記事は2026年4月1日現在のものなので今後法改正などにより罰則の運用が変わることもあります。正しい規則については必ず警察庁の公式サイトをご参照ください。
自転車イヤホンの罰則について
知っておいてほしいこと
「音楽聴きながら自転車運転したら危ないでしょ?周りの音が聞こえなきゃどんな危険が自分に迫っているかわからないからね。ハイ罰金。」
とまぁおっしゃる通りで「ぐぬぬ…」とガマ口を開いて罰金を納めることになるのだがその前に知っておくことがある。
"全てのイヤホンが違反になるわけではない"
ということ。
警察庁交通局交通指導課長が警視庁交通部長・各道府県警察本部長などに出した通知には、
『自転車利用時のイヤホン等の使用そのものを禁止することではなく、イヤホン等を使用して安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自転車を運転する行為を禁止すること』
という公安委員会規則により定められた禁止行為について取り締まりをしていきましょう、と書かれているし、片耳のみのイヤホンや骨伝導イヤホン、オープンイヤー型イヤホンにおいてはそれが周囲の音を遮断するもの・音量であり『必要な音又は声が聞こえない状態で自転車を運転する行為』に該当するかよくよく違反の成否を確認すること、と謳われている。しかも驚くのは両耳イヤホンであってもその取扱いは同様であると明記されているのだ。じゃあどうやって切符を切るのかというと、
『イヤホン等の使用という外形的事実のみに着目して画一的に違反の成否を判断するのではなく、例えば、警察官が声掛けをした際の運転者の反応を確認したり、運転者にイヤホン等の提示を求め、その形状や音量等から、これを使用して自転車を運転する場合に周囲の音又は声が聞こえない状態となるかどうかを確認したりすることにより、個別具体の事実関係に即して違反の成否を判断すること』
と書かれている。つまりイヤホンつけてるねハイきみアウトー!ではなく警察官の声掛けに反応でき、提出したイヤホンがたとえ再生中であっても安全運転を阻害する音量でなければ違反行為とならないということだ。
これはなにも犯罪を助長しているわけではなく、ルールブックにそう明記されている事実を述べているだけだ。間違った解釈で自転車に乗るのは違うし、間違った解釈で罰を受けそうになったらきちんとルールに則り抗弁することが大切であると言っている。
ちなみに、
『イヤホン等を片耳のみに装着している場合や、両耳に装着している場合であっても極めて低い音量で使用している場合等には、周囲の音又は声が聞こえている可能性がある』
と通知にハッキリ書かれているので、気になる人はネット検索で
「自転車 イヤホン 通知」
と入力し公式文書を熟読してほしい。オッサンが嘘言ってないのわかるから。
世の中を理解する上で重要なこと
わたくしは元保険屋さんなので新しい取り決めができた時、ルールブックや所管責任者の通知を熟読するという癖がついている。保険業界も定期的に国税庁通知をもとに税制に適した保険商品の取り扱いを確認したりしている。これはどの業界も同じでルールに適したものであるかどうか確認した上で運用しないと罰を受けるからである。これが世の常識であり普遍の防衛策なのだ。聞きかじりの知識やネットでチラッと見ただけの情報を鵜吞みにせずまずは大元となる公式情報を確認してほしい。
そうしないと何が起きるのか?
間違った運用で罰せられた時、抗弁できず甘んじて損害を被るということが起きる。
罰則を運用する側も人間なので知識不足や誤りもある。罰を与えるなら完璧にしてくれよと言いたくなるがじゃあ警察官が全員刑法を隅から隅まで理解しているかというとそれは難しいだろう。あなたが働く業界のことにしても、絡み合う法律の全てを理解しているかと聞かれたら首を横に振るのではないか。それでいいのである。人一人ができることには限界があるし、そのために門番となり得る上層部のチェック機構がある。
しかしそこもすり抜けてしまう案件に関してはどうするか?
それは自衛するか弁護士に依頼し抗弁するしかない。
まずはそのお手軽な方法である自衛について知識をつけておくことが重要だということを伝えたい。たとえばイヤホンをつけて自転車に乗ってはいたが音楽を再生しておらず切符を切られた場合はどうだろう。この記事を読んだ人ならイヤホンを提出し音楽を聴いていなかったこと、周囲の音を聞き充分に安全運転できる状態であったことを警察官に説明するのではないだろうか。
知らなかったらそれもできない。でも知っておけば誤って罰を受けることもない。自転車の青切符に限らず世の中はそうやって成り立っている。無知は罪なのだ。
え?そんな活用法が!?
わたくしはもう何年も前から自転車に乗る時は骨伝導イヤホンを愛用している。車が自転車をスレスレで追い抜いていく日本の狭い道路で周りの音が聞こえないのはめちゃくちゃ危なかったからだ。そんな時に友達が教えてくれた骨伝導イヤホン。音楽も楽しめて周りの音も聞こえるという不思議な感覚に戸惑いつつも感動したものだが、このイヤホンにもっと感動してくれた人がいた。外耳道閉鎖症の人である。
『外耳道閉鎖症』とは外耳が先天的に閉じていたり極めて狭い状態にある病気のこと。同じ会社にこの症状を持つ人がいたが、ある日俺の骨伝導イヤホンを見て「なんですかその変なの?カチューシャ?」と言うので「イヤホンです。おもしろいからつけてみてください。」と手渡すと彼は暗い表情になり「あー、僕見ての通りこっちの耳病気だから聞こえないんですよ。これ手術してもまた塞がるから意味なくて。だからそもそもイヤホンが耳に入ら…待てよ?これ耳に入れるタイプじゃないから装着はできますね?」と渋々耳にかけたので再生ボタンを押すと、
「聞こえる!うわ!音が聞こえる!!すごいすごい!!音が聞こえますよ!!すげぇ!ヒャッハァーーッッ!!!!」
と北斗の拳のモヒカンのようにフロアで飛び跳ね大絶叫していた。まさかそんな副産物が骨伝導イヤホンにあるとは知らず軽い気持ちで聴かせてみたが彼が思いっきり泣いていたのでそれまでの数十年間無音だった片耳に音を届けた骨伝導イヤホンの偉大さを知るところとなった。彼はものすごく感謝していた。良い事するって気持ちいいなぁ。なんも考えずにイヤホンつけさせただけやけど。
これが骨伝導イヤホンの意外な活用法である。彼と同じように外耳道閉鎖症の人、またはその他難聴の人に骨伝導イヤホンは音を届けるかもしれないので人生の貴重な発見としてここに記す。
新しい決まりができたらまず自衛
保険屋さんはルールブックの「できること」ではなく「できないこと」を読む。免責事項を熟読する。
『禁じられていないってことは大丈夫ってことですよね?』
という前提で話を進める。たまに保険会社の担当者が「この事故は保険金払えません。」と誤回答する場合があるのでその時もこの話法を使う。「あなたが言っているその根拠、免責事項に載ってませんよ?」と。そうやって保険屋さんはお客さんを守っているのだ。ルールを知らないと誤回答にすら気づかないのだからハイそうですかと引っ込むしかない。そんな保険屋のお客さんは不利益を被る。もちろん保険会社サイドも上長のチェックがあるし、過去契約で手落ちがなかったか常に再チェックしている部署もあるのでその誤りがスルーされる確率は極めて低いが、人間がやっていることなのでゼロではないかもしれない。大事なのはヒューマンエラーを前提として自己防衛することなのだ。
その時に自分を守れるのは自分だ。
今は検索すれば公式文書なんていくらでも出てくるありがたい時代だから自分で探して読んでわからない部分はさらに検索して調べれば大方のことは理論武装できる。この記事はそんな、自分を守りつつ世の中を生き抜いていくための考え方・姿勢を広く伝えることを目的としている。
知らないまんまじゃダメよ。
自分の権利を守るというのはそういうこと。